【揺らぐ沖縄】名護市長選ルポ(下)結果注視の宜野湾市民(産経新聞)

 米軍普天間飛行場を抱える沖縄県宜野湾(ぎのわん)市民も、名護市長選(1月24日投開票)の行方を注視している。結果次第では名護市辺野古地区への移設問題が完全に宙に浮き、基地の固定化を余儀なくされかねないからだ。「いつまでも待てない」。「世界一危険」とされる基地の周辺で米軍機による騒音と墜落の恐怖におびえる宜野湾市民から悲痛な叫びが聞こえてきた。(宮本雅史)

 ◆いらだち頂点

 日米間で普天間飛行場の全面返還が合意されて13年余りが経ったが、移設問題をめぐる鳩山政権のもたつきで宜野湾市民のいらだちは頂点に達している。

 返還決定直後から「内定」していた名護市辺野古への移設が袋小路に入り、普天間返還自体が事実上の「凍結」となる不安が日増しに強まっているのだ。

 「返還計画は進展していたのに白紙に戻ってしまった。一刻も早く辺野古に移設してほしい。だから名護市長選を見守っている」

 住宅密集地の真ん中にある普天間飛行場の近くに住む飲食店経営者(50)はこう話す。その声も、耳をつんざく米軍機の轟音(ごうおん)にかき消されそうだ。

 ◆恐怖現実に

 基地と共存する市民の恐怖は平成16年8月に現実のものとなった。飛行中の米軍大型輸送ヘリが沖縄国際大学に墜落、炎上した。

 45年間基地周辺で暮らす男性(64)は、その事故で上空を覆ったどす黒い煙が瞼(まぶた)に焼き付いて離れない。

 「10年前から辺野古に移ると信じていた。固定化にしろ、移設にしろ、早く決めてもらいたい。政治に弄ばれているようで我慢できない。名護市長選で現職が再選されれば民意ということで、一気に移設が実現すると期待している」

 土地を米軍に提供している軍用地主の男性(65)は「県民感情としてはまず辺野古に移し、その後、具体的に基地の縮小問題を考えるべき。鳩山政権が決断できないから全く進まない。一番困っているのは宜野湾市民だ。鳩山政権の尻を叩くうえでも市長選の意義は大きい」と話す。

 市民の間では「辺野古でなく、県外に移設しないと意味がない」(元教員)という声もある。

 しかし、前衆院議員の安次富(あしとみ)修氏(53)は、「沖縄の目標は自立経済の発展にある。そのためには政治が安定しないといけない。日米合意に基づいて辺野古に移し、その後、新しい沖縄を形成するための議論をすべきだ。まず一歩進めないと何も解決しない」と指摘する。

 ◆本質を忘却

 沖縄県の世論はいま、「オール・オア・ナッシング」になっている。県内の米軍基地問題については段階的に整理縮小することが基本だった。それが、いつの間にか急進的になり、本質を忘れてしまっているようだ。普天間飛行場を抱える宜野湾市民の間では、名護市長選は基地縮小への新たな第一歩になると期待する声も広がりつつある。

 前述の普天間飛行場近くの飲食店経営者は、あてなき「県外移設」になおも固執する伊波洋一宜野湾市長の姿勢をもいぶかる。

 「なぜ危険除去のために辺野古への移設を進めないのか。名護市は受け入れを承諾しているのに市長の真意が理解できない。本気で移設を考えているのか」

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